老前整理のススメ:生前整理との違い
自身が亡くなった後、身のまわりの品々は遺族が整理するというイメージがあると思います。いわゆる遺品整理です。しかし現代社会では、家族の在り方も少しづつ変わってきており、遺族が遺品整理をすることが難しいという場合多くなっています。独身の方も、家族に迷惑をかけたくないと思う方も、自身が元気なうちに身の回りを整理しておくことが大切ですね。
今回はよく耳にする生前整理とはまた違う、『老前整理』についてご紹介します。
目次
老前整理とは?その基本概念と目的
老前整理とは、これから年齢を重ねるにあたって、老後の生活のために身の回りを整理しておくことで、 株式会社くらしかる代表・坂岡洋子さんが提唱して広まったといわれています。坂岡さんが在宅介護の仕事で現場に関わった際、高齢者の方の自宅にある物の多さから「高齢になる前に持ち物を整理し始めたほうがいい」と感じて老前整理を考えたそうです。
※「老前整理」は株式会社くらしかるの登録商標であり、くらしかるのHP上に記載(商標登録について)されています。
確かに高齢になると足腰も弱くなり、簡単に「片付け」といっても一苦労になってしまいますよね。実際に動き回る体力や気力がまだ十分にある40~50代のうちから老前整理をはじめることで、スムーズな終活へとつながります。
生前整理との違い
「生前整理や断捨離という言葉は聞いたことがあるけど、それと同じなの?」と疑問に思った方もいらっしゃると思います。これらの違いは以下通りです。
〇老前整理・・・・・自身が老いる前に身辺整理をおこなう
〇生前整理・・・・・自身が死亡する前に身辺整理をおこなう
〇遺品整理・・・・・亡くなった方の遺品を処分する
〇断捨離・・・・・・不要なものを捨て、ものへの執着から逃れる
流れとしては、老前整理→生前整理→遺産整理という順番になっており、断捨離は別物になります。
老前整理のコツ
老前整理は、「これが絶対に正しい」というやり方があるわけではありませんが、まずは現在お住いのお家を見渡した時、老後の自分が生活しやすい環境なのかを考えてみましょう。例えば、押入れの上や食器棚の上など高いところに物をしまっていませんか?そのような場所にしまうものは、普段あまり使わないものが多いですが、本当に今後必要とする機会が来るでしょうか?
老後に使う物(使いそうな物)を想像するためにも、必ず手に取って精査していきましょう。手に取ることで捨てるかどうかの判断に迷ったり、思い出の品を懐かしんだりしているうちに、ついつい時間が経過してしまうかもしれませんが、「今日中に老前整理を終わらせてやる!」などと意気込んでしまわないことが大切です。死を目前にして急いで行うわけではありませんから、一度で完璧に老前整理を済ませてしまおうとせずに、
「今日はこの引き出しをしっかり整理しよう」、「次の土日には食器棚を整理しよう」など、達成しやすい目標を決めて、少しずつ進めていくことが老前整理のコツです。
その様に整理することが日常になると、ものを買うときは本当に必要なものかどうかをしっかり判断することや、収納スペースにはいつもある程度の余裕を持つことを心がけるなど、日ごろからの意識も変わってくるはずです。
最後に・・・
老前整理は、老後の生活を心豊かに過ごすための大切なプロセスです。むやみに物を手放すのではなく、自分の人生を振り返り、これからは何が本当に大切なのかを見極める作業です。物理的な整理だけでなく、心の整理も同時に行うことが、豊かな老後を実現する鍵となるのです。 このように、老前整理を通じて自分自身を見つめ直し、人生を豊かに彩る方法を見いだしましょう。心の整理が整ったとき、あなたの老後はより生き生きとしたものになるでしょう。