家族の負担を減らす方法:死後事務委任契約とは?
家族が亡くなった場合、遺産分割や手続きなど多くの手続きが必要になります。しかし、大切な人が亡くなったときに、残された家族にかかる負担を減らすためには、死後事務委任契約があることをご存知でしょうか?この契約について、以下で詳しく解説します。
目次
死後事務委任契約とは何か?
死後事務委任契約とは、主に終活を考える方々が用いる契約形態の一つです。この契約は、自分が亡くなった後に、葬儀、遺品整理、各種支払いなどの手続きを第三者へ委任する契約です。
死後に様々な手続きを行うことは、非常に面倒で時間もかかりますが、委任すればその手間や負担を最小限に抑えることができます。死後事務委任契約は、亡くなる前に契約を交わしておくことが必要であり、契約内容については、必ず専門家に相談することが大切です。
どんな人が利用するのか?
少子高齢化の昨今は単身世帯が増えており、死後事務委任契約を検討する方が増えていますが、いくつか具体的なケースをご紹介いたします。
●身寄りがなく、自分の葬儀や遺品整理が心配
●兄弟姉妹はいるが、みな高齢で無理をさせたくない
●内縁関係や事実婚である
●家族との関係が希薄である
一般的には身寄りの無い高齢者の方やおひとり様が多いですが、近年は家庭の事情もより複雑になっており、家族や親戚がいる場合でも死後事務委任契約を利用する方が増えてきています。
死後事務委任契約の内容は?
死後事務委任契約は決められた項目があるわけではなく、自身が心配なこと、お願いしたいことを委任するものです。
●行政庁への届出………健康または介護保険証などの返還手続き、年金事務所への連絡など
●葬儀関連の手続き………通夜・告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務
●各種解約・支払い………携帯電話・水道・電気・ガスの解約、医療費、老人ホーム等の施設利用料支払い、
賃貸物件の解約手続きや鍵の返還など
●遺品およびデジタル遺品の整理………家財処分、SNSのアカウントの削除、
パソコンやスマホなどに保存されている個人情報の抹消など
●ペット関連………ペットの面倒を見てくれるように指示する、施設への引き渡しなど
支払いは?
依頼者が亡くなった後、死後事務委任契約の受任者は、葬儀費用や病院の支払いを行います。しかし、依頼者が亡くなると、預金口座は凍結され、財産は相続人に引き継がれる為、支払いができなくなってしまいます。そこで、こうした費用の支払いに充てるため、死後事務契約を結ぶ際に、『預託金』として予めまとまった金額を、受任者に預けておく方法がとられています。受任者はそこから各種の支払いをおこない、余った場合には相続財産に返還されます。
また、死後事務を専門家に依頼した場合には、受任者としての報酬が発生します。受任者の報酬も、預託金に含めるのが一般的です。
注意点は?
注意点として、まず死後事務委任契約は、亡くなった後に必要な手続きを委任するものです。その為、生前の財産管理や身の回りのお手伝いなどはできません。必要な場合は、財産管理契約や見守り契約といった別の契約を考ましょう。次に相続分の指定や、遺産分割方法の指定はできません。相続に関して残したい場合は、遺言書を書くことが必要です。
そして、認知症のように判断能力の低下がみられる場合は、そもそも死後事務委任契約を結ぶことができません。判断能力があるお元気なうちに、早めに契約の検討を始めましょう。
最期に・・・
死後事務委任契約により、死後の手続きを滞りなく進めてもらえます。親族がいない、頼りたくないなど、家庭の事情を抱える人は、この制度の利用を検討してみるとよいでしょう。
星月では、死後事務委任契約のほか、任意後見契約や遺言書など、ご希望に沿った形でのサポートが可能です。ぜひ一度お問い合わせください。