孤独死の実態とその対策を知ろう
現代社会において、孤独死という現象が深刻な問題として浮かび上がっています。特に高齢化が進む日本では、独居世帯の増加や人間関係の希薄化が影響し、誰にも看取られないまま亡くなる人が後を絶ちません。このような孤独死は、単なる個人の問題にとどまらず、社会全体に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。本稿では、孤独死の実態を探り対策についても考えていきたいと思います。
目次
孤独死とは何か?
孤独死とは、一人暮らしをしている人が、一人で亡くなることを指します。特に高齢者に多く見られる現象で、近年日本社会で深刻な問題として浮上しています。国土交通省の「死因統計別データ」によると、2018年に東京都23区で孤独死した人は5,513人で、15年前の2003年から約1.9倍に増えています。
「孤独」という言葉から、身寄りがなく日頃からさみしく暮らしていた人の死をイメージする方が多いかもしれませんが、必ずしもそうではありません。一人暮らしを謳歌している「おひとりさま」も、独立した子どもたちと離れて暮らす「おひとりさま」も、孤独死をする可能性があるのです。
それではもし孤独死した場合、その後の手続きは誰がどのように行うのでしょうか。
孤独死した場合
●発見
大家さんや近隣住民などが気づき、発見に至るケースが多いです。発見した時に死亡しているか分からない場合は、救急車を呼ぶことが一般的です。到着した救急隊員が生死を確認し、生きている場合は病院に搬送、亡くなっている場合は警察に通報してくれます。亡くなっていた場合は、警察官が現場検証をおこない、警察医が検死をして死因を特定します。その際、発見者は事情聴取されることもあります。事件性がないと判断されると「死体検案書」が作成され、遺体は遺族に引き渡されます。
●連絡
発見者が友人や賃貸住宅の管理会社、職場関係者といった親族ではなく、近親者の有無や連絡先が分からない場合には、警察が戸籍などの公的書類から近親者を探し、血縁関係の近い順に連絡をしていきます。
●火葬
身寄りがない場合や、親族が遺体の引き取りを拒否した場合には、自治体が火葬をおこないます。引き取り手が現れない場合は、一定期間保管した後に無縁納骨堂などで保管されます。
費用は?
病院に運ばれて亡くなった場合の入院・治療費や、自宅で亡くなった場合の清掃費用は、誰が負担するのでしょうか。
●医療費
病院で亡くなった際の医療費は、相続人が負担することになります。身よりがなく、入院する際に友人や職場関係の人が連帯保証人になっている場合には、その人が代わりに医療費を支払うことになる可能性があります。
●火葬費
まずは本人の所持金が支払いに充てられ、本人の所持金からでは支払いが足りない場合、自治体が相続人を調査し、相続人に請求する可能性があります。相続人が遺体の引き取りを拒否していても、相続放棄をしなければ、費用請求をされる可能性があります。
●清掃費
賃貸の部屋で亡くなり、遺体の発見が遅れた場合、部屋の原状回復のための特別な清掃費用がかかる場合は、相続人がその費用を負担することになります。原状回復がおわり、部屋を明け渡すまでにかかる家賃も相続人に請求されます。
一人暮らしをする方の対策
誰にも迷惑をかけずに一人暮らしをしていると思っても、亡くなる時には思ったより多くの血縁者や関係者を巻き込んでしまうのです。こうした状況を回避するためにも必要なのが終活です。
高齢の場合は見守りサービスを活用したり、亡くなった後のことが心配な場合には、「死後事務委任契約」を検討するのもよいでしょう。
「死後事務委任契約」を結ぶと、自身の死後に発生するさまざまな事務手続きを任せることができます。通夜・葬儀、埋葬の希望、公共サービスなどの解約、公的年金の届出など、あらゆる事務手続を代行してもらえます。
最後に・・・
「亡くなることを考えるなんて・・・」と思うかもしれませんが、明日のことは誰にもわかりません。生涯独身で身寄りのない人だけが「おひとりさま」ではなく、誰もがおひとりさま予備軍です。長年連れ添った配偶者との死別や、子ども家族が遠くに引っ越すことになるかもしれません。また、子どもが心配してくれて同居を持ちかけても、一人暮らしが気楽だからと断るかもしれません。自分らしく最期を迎えるためにも、今日から終活を始めてみませんか。